山田勝美『全釈論語』、貝塚茂樹『論語』、加地伸行『論語増補版』に準拠。感想は私的解釈。
為政篇3
〈通釈〉
先生が言われた。行政を法制のみに依ったり、治安に刑罰のみを用いたりするようでは、民はその法制や刑罰に引っかかりさえしなければ何をしても大丈夫だとして、そのように振舞ってなんの恥ずるところもない。しかし、その逆に行政を道徳に基づき、治安に世の規範を第一とすれば、心から不善を恥じて正しくなる。
〈感想〉
人間というものは、自然的態度では絶えず自己や自分の集団の利益を追求する生物である。何のルールもなしで野放しにしておくならば、ホッブズが提議したように万人の万人に対する闘争になってしまうだろう。つまり、各々が己の利益を求めようとして行動する。その結果、他者の利益を侵害することも厭わないだろう。しかし、この状態が恒常的に続いたならば、人間という種自体が自滅するという不利益を被ることになってしまう。これは避けなればならない。 “論語7”続きを読む