3.クリスマスの日
クリスマスの話の続きです。
クリスマスは一体何の日でしょうか?
多くの方がご存じだとは思いますが、クリスマスはサンタクロースの日ではありません。
しかし、子どもたちと関わって、話を聞いていると、ほとんどの子どもたちはクリスマスがサンタクロースの日であると思っています。
確かに、クリスマスの季節になるとCMにサンタさんが登場してきますし、町にサンタさんが現れます。クリスマスの雰囲気にサンタクロースは欠かせません。
何より、クリスマス・イブの夜にサンタクロースは世界中の子どもたちプレゼントをくれます。子どもにとってみれば、最高な日でしょう。
サンタクロースがクリスマスのイメージキャラクターであることは疑いようのないことです。
だから、子どもたちがクリスマスをサンタクロースの日だと思ってしまうのも、仕方のないことだと言えるでしょう。
実際、私もサンタさんが好きですし、サンタさんのいないクリスマスは考えられません。
しかし、クリスマスの本来の意味としては、イエス・キリストが降誕した日ということが正式です。
これは大人なら誰でも知っていることです。
クリスマスはChristmasですが、Xmasとも表記できます。
実は、どちらも正しい表記です。Xmasが造語という訳ではありません。
なぜなら、XmasのXは英語の「エックス」ではないからです。
XmasのXはギリシャ語の「Χ キー」であるからです。
似ている文字のため、勘違いしやすいですが、実は別の文字なのです。
そして、XmasのXはΧριστος(クリストス=キリスト)の頭文字をとって略したものです。
ですから、ChristmasもXmasも同じクリスマスなのです。
そして、なぜそもそもクリスマスという名称なのかということが疑問に上がると思います。
これは、XmasがΧ=キリストで、mas=ミサだからです。
キリストを礼拝する日、それがクリスマスの語源なのです。
そして、クリスマスが聖なる夜と呼ばれているのも、イエス・キリストが降誕したことを礼拝する日だからです。
では、なんでキリストが降誕したクリスマスが12月25日となっているのでしょうか?
実は、12月25日という日にちについては聖書に直接の根拠がありません。
イエス・キリストについての生涯を書いてあるのは新約聖書の中の四福音書(マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネ)という書物です。
その中で特にイエスの誕生について記述してあるのはマタイ福音書とルカ福音書です。
幼稚園のクリスマス会でやる降誕劇でお馴染のマリアの処女懐胎、馬小屋での出産、東方の三博士の訪問などのテーマももちろんマタイ・ルカ福音書に描かれてます。
しかし、イエスの降誕が12月25日であったという根拠は福音書にはありません。
むしろ、その日以外の可能性を聖書から見ることが出来ます。
イエスが生まれたことを天使が羊飼いたちにお告げしたという場面がルカ福音書2章8節に描かれています。
「羊飼いが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた」(ルカ2:8)
しかし、当時のユダヤの羊飼いたちが、夜通し番をするのは春から秋にかけてで、冬にはしませんでした。
このことからも、イエス・キリストの誕生日が冬ではない可能性があると言えるでしょう。
では何故、イエスが生まれた日をキリスト教は12月25日にしたのでしょうか?
それは、ローマ帝国で紀元150年ごろから興隆したミトラ教にルーツを辿ることができます。
ミトラ教は太陽神ミトラスを主神にしていたので、冬至の暦で冬至(この日を境に太陽の昇る時間が長くなる)であった12月25日を「不滅の太陽の誕生日」として祝っていました。
しかし、紀元300年ごろからミトラ教は衰退し、代わりにキリスト教がコンスタンティヌス1世の治世の313年にローマ帝国の公認宗教となりました。
当時のキリスト教徒は、ローマで広く認識されていた12月25日の「不滅の太陽の誕生日」と旧約聖書のマラキ書の3章20節に記述されてある「しかし、わが名を畏れ敬うあなたたちには義の太陽が昇る」(3:20)の「義の太陽」を結びつけて考えました。
そしてさらに、「義の太陽」をキリストと見なしました。
すると、「不滅の太陽」=「義の太陽」、「義の太陽」=キリスト、「不滅の太陽の誕生日」=イエス・キリストの誕生日
という構図ができます。
つまり、ローマ帝国に公認されたキリスト教徒たちは、ミトラ教の冬至の太陽祭をイエス・キリストの誕生日と見なし、お祝いするようになったのです。
クリスマスが12月25日なのは、この様な歴史的な後付けによるものと言えるでしょう。
そうそう、豆知識の豆知識ですが(笑)
著者 もみぢ, みどり合作、明治28年(1895年)出版の『久里寿満寿』(くりすます と読みます)という本でクリスマスのことが紹介がされています。
興味のある方は近代デジタルライブラリーのここで読むことが出来ます。ただ明治時代の言葉なので、慣れていないと読むのは難しいかもしれません。
また、著者 進藤信義、明治33年(1900年)出版の『さんたくろう』という本では、サンタクロースのことが「北国の老爺(おやじ) 三太久郎」と詳細されています。
同じく近代デジタルライブラリーのここで読むことが出来ます。
三太久郎、なかなか良いネーミングセンスだと思います。
今回はここまでです。
また、クリスマス関連の話をします。