2.自我状態の分析
交流分析においては、人は誰でも自分の中に3つの心、心理的現実を持っており、これを知ることによって人間の心と行動を分析することができます。
交流分析は、人間の心を3つの部分と5つの機能で成り立っていると考えています。
3つの部分とは、P(Parent)=親の自我状態、A(Adult)=成人の自我状態、C(Child)=子どもの自我状態のことです。
Pとは親の影響を受けて成り立っている部分であり、
厳格で規律や道徳を重んじる「批判的P」(Critical Parent=CP)
他人に対して思いやりや愛情を示す「保護的P」(Nurturing Parent=NP)
の2つの機能を持っています。
また、Aとは理性に関係する心の働きであり、客観的に現実を受け止め判断する機能を持っています。
そして、Cとは子供の頃の本能的、衝動的な感情や態度の表れる部分で、
その人本来のありのままの振る舞いをする「自由なC」(Free Child=FC)
親や大人に順応しようとする「順応のC」(Adapted Child=AC)
の2つの機能を持っています。
・ 交流分析の目指すものは
1.「成人の自我状態」の汚染の解除、
2.「自由な子どもの自我状態」の解放、
3.「親の自我状態」の形成、この3点です。
また、交流分析ではP、A、Cそれぞれの自我状態の相互関係を分析し、それを客観的に表す方法として「エゴグラム」というものが用いられています。
エゴグラムとは、ジョン・デュセイ(John Dusay)が開発したもので、各自我状態に注がれる心的エネルギーの量を目に見える形で示したものです。
3.やりとりの分析
人間同士のコミュニケーションには基本的な3つの形があります。
1.相補的やりとり、2.交差的やりとり、3.隠されたやりとりの3つです。
①相補的やりとりとは、エリック・バーンによるコミュニケーションの第一の法則に基づくものです。即ち、ある一つの自我状態から発せられたメッセージが、相手の予想された自我状態から予想された反応で返ってくるやりとりのことです。
相補的なやりとりは、「コミュニケーションがスムーズで、健全な人間関係の自然な秩序に従っている」状態にあるといえます。しかし、相補的なやりとりにおいて本当に二人の心が開かれており、親密な交わりをしているかは、言語的なやりとりだけでは判断できません。言葉に加えて、声の調子、視線、表情、姿勢、呼吸、代表システム等の準言語的、非言語的なやりとりがとても大切です。
②交差的やりとりとは、エリック・バーンによるコミュニケーションの第二の法則に基づくものです。即ち、期待した反応が期待した自我状態から返ってこないので、刺激と反応の線が交差し、この時点で二人の間のコミュニケーションが中断してしまう状態のことです。「交差したやりとりは、苦痛や混乱の原因をもたらすのである」。
③隠されたやりとりとは、エリック・バーンによるコミュニケーションの第三の法則に基づくものである。即ち、言葉による何気ない表面的なメッセージの裏に、言葉で表現されない隠されたメッセージがあることです。そして、隠されたメッセージが実際の相手に反応をもたらすやりとりのことです。


最後に、健全なやりとりについて3点挙げます。
1.語られる内容が真実であること
2.オープンに素直に自分の気持ちを伝えること
3.チャイルドとチャイルドの親密な交わりが存在することです。