2.瞑想の概要

瞑想の経験のない人が瞑想を行おうとする時のよくある間違いは、いきなり自分の心に入り込もうとすることである。どんなに瞑想に熟達した人でもいきなり自分の心に没入することはできない。瞑想状態に至るにはいくつかのスイッチを押す必要がある。それを無視して瞑想状態に入り込むことはできない。

瞑想には6つの段階がある。それぞれが次の段階のスイッチとなっており、段階を飛び越えて次に進むことは出来ない。

①    瞑想に入る前の環境づくり(身体的・精神的なリラックス)

②    正しい呼吸+一つのことへ意識を傾ける

③    忘我状態

④    感情の渦=感情とエネルギーの解放

⑤    無我状態(エネルギーを解放しきった空っぽの状態)

⑥    意識的な正しい呼吸、瞑想からの帰還

 

3.瞑想に入る前の環境づくり

瞑想状態に入り込むにはいくつかの準備が必要である。私たち自身の土台である「身体」を整え、「精神(もしくは脳)」を安定させることで、初めて「心」に没入することができる。心身がリラックスできない騒がしい環境では瞑想はできない。

基本的には、身体→精神の順番でリラックスしていき、瞑想へのスイッチを押していく。最も重要なのは心身共に完全にリラックスできる環境を確保することである。騒がしくなく、他人がいない環境、自分だけの時間を用意する。自分だけの場所と時間が必要である。瞑想の時間は5~10分程度で十分である。

心身共にリラックスできる環境は人それぞれである。癒しの音楽を聴いてもよし、暗闇にキャンドルを灯して眺めるもよし、お香を焚いても良い。ベッド上であったり、風呂場であったり、自然溢れるところでも構わない。散歩しながらでもいい。(*瞑想の訓練さえ積めば、散歩はかなり瞑想に適していることが分かる)。自分が最もリラックスできる環境を用意できれば何でも構わない。瞑想とは能動的に「孤独」になることである。「孤独」にならない限り、自分自身と向き合うことは出来ない。

慣れるまでは以下を意識すると良い。

①    身体的なリラックス 手足を伸ばして完全に弛緩できる状態が良い。

②    精神的なリラックス 雑音がなく、暗いところで、何も考えない。

 

4.呼吸法+意識の集中 忘我状態

身体的・精神的にリラックスできる環境を整えたら、次は呼吸法と意識の集中である。呼吸は3秒吸い、1秒止め、15秒吐く(慣れるまでは1秒吸い、1秒止め、5秒吐く、次第に2秒吸い、1秒止め、10秒吐くにしていくと良い)。これを最初は意識的に呼吸をコントロールする。呼吸法を行いながら同時に意識の集中を行う。これは同時並行で行う。

意識の集中は、何かに自分の意識を一点に集中させることである。分かりやすい例を挙げればキャンドルの炎をじっと見続けたり、癒し音楽に耳を澄ませ続けたり、お香の匂いに集中してもいい。瞑想訓練を受けた人であれば、目をつぶって暗闇の一点に意識を集中させたり、肉体の動きに意識を集中させたり、散歩で歩き続けることに意識を集中させたり・・・などが可能になる。意識が集中できるものであれば何でもいい。しかし、慣れるまでは五感で感じられるものを目標・標的として意識を集中させるのがやり易いだろう。

繰り返すが、呼吸法と意識を集中は同時に行う。正しい呼吸行いながら意識の集中をおこなうことで次のステップに入ることになる。

一つのことに意識を集中させていると、いつしか忘我状態に入る。ちなみに忘我状態に入ると呼吸法を意識しなくても正しい呼吸が持続される。忘我状態とは意識と無意識の境界上に立つ状態である。身体的・精神的に完全にリラックスし、雑念が取り払われる。無心であるが意識が研ぎ澄まされている状態が継続する。一般的にはこの忘我状態が瞑想へのイメージである。この状態に入るだけでもかなりすっきりする。瞑想に慣れていない場合、訓練中の場合はここでストップしてもいい。しかし、忘我状態は瞑想の入り口に立っているに過ぎない。まだ意識と無意識の狭間であり、無意識の深みには入り込めていない。

次回も瞑想の実践の続きです。