私たちは今を生きています。それは絶えず変わりません。10年後も今を生きているはずです。私たちは現在という時間の中でしか生きられません。当たり前のことですが不思議なことでもあります。私たちの意識は絶えず現在という時間の縛りの中でしか存在できません。永遠に今を生き続けています。
しかし、その現在の私は過去の自分から形作られています。ある時突然、今の自分が登場したのではありません。現在は過去と繋がっています。過去の自分がいなければ、現在の自分はありえません。過去が積み重なった結果が現在なのです。過去の無限の繋がりが今を形成しているのです。私たちは現在にしか生きられませんが、現在は過去から成っているのです。また、現在という時間は一瞬に過ぎ去り、過去へとなります。
私たちは永遠に未来へは到達できません。現在という時間の中で生きる私たちにとって未来とは決して行くことのできない世界です。しかし、未来は幻想ではありません。現在が一瞬にして過去になるならば、未来もまた一瞬にして現在へとなるのです。そして、過去の積み重ねが現在になるのと同じように現在の積み重ねが未来へとなっていくのです。
過去は私たちには永遠に手の届かない世界です。過去を顧みて悲しむこと、後悔することはいくらでもできます。しかし、その悲しみや後悔は永遠に過去へと届くことは無いのです。過去はもはや過ぎ去ったしまったのです。その悲しみや後悔は現在を支配する感情です。そして、過去が現在をつくっているならば、過去を否定するということは現在の自分を否定するということになります。過去を否定する時、それは現在を否定するということです。しかし、現在を否定するという気持ちは人間なら誰しも抱く感情です。しかし、残念ながら、その感情は本当に届けたいはずの過去には永遠に到達しません。
未来も過去と同様に私たちの手の届かないものです。しかし、現在の積み重ねが未来をつくるのです。未来を諦めるということは現在を諦めることと同じことです。未来の可能性を否定するということは現在の可能性を否定するということです。未来に向かって邁進するということは、現在においてたゆまぬ研鑽を行うということです。逆に言えば、現在において行っている努力は未来への結果へと繋がるのです。現在の行動が未来を変化させるのです。
故に今をどう生きるかということが人生をつくるのです。