人生は浮き沈みの繰り返しである。人生の全てが幸福で満ち溢れることはないように、人生の全てが不幸で埋め尽くされることもない。
人生のどん底にある時はあたかもそれが人生の全てであるように思ってしまうが(そう感じることは当然であるが)、それもまた人生の一断片に過ぎない。
幸福が多い人生なのか、不幸が多い人生なのかは人による。しかし、万物は流転する。人生は幸福と不幸の繰り返しである。かつて起こったことはまた起こる。
幸福の真っただ中にある時、往々にしてそれが自分にとっての幸福であるとは認識できない。幸福を当たり前のものと人は錯覚する。そして、幸福な時が失われてから、それが幸福だったことに気が付くことが常である。
そして、人間は幸福がいつ過ぎ去るのかの時を知らない。人間は物事が転じる時を知ることができない。安穏に海を泳ぐ魚が突然網にかかるように、悠々空を飛ぶ鳥が一瞬で罠に陥るように、人間はいつ自分に災難や不幸が襲ってくるのかを知ることができない。
不幸のどん底にある時、人間はそれが永遠に続く苦痛の様に感じる。そこには希望が見いだせず、絶望に陥る。しかし、不幸の只中においても実は希望は常にある。何故なら、万物は流転するからである。永遠に続く不幸は無く、必ず転機がある。それは思わぬ時に訪れる。
不幸がいつ襲ってくるのか分からないように、幸福がいつ訪れるのかも分からない。
人生は幸福と不幸の繰り返しである。不幸がないと幸福が何であるのかが分からないように、幸福がないと不幸が何であるかも分からない。
人生において起こるそれぞれの場面をどう受け止めるのかということが大切である。