今回と次回はクリスマスの物語の構図を紐解いてみたいと思います。それにはクリスマスに関連する代表的な人物を知ることが最も手っ取り早いです。

聖書は文学的な読み物としてとても面白いです。しかし、その文学的な深みを知るにはある程度の宗教的な背景を知る知識が必要です。

聖書にはサンタクロースは出てきません()。サンタクロース以外のクリスマスの代表的人物について紹介しつつ、クリスマス物語の構図を見ていきます。

東方の博士

メルキオール(黄金、青年の姿の賢者)、バルタザール(乳香、壮年の姿の賢者)、カスパール(没薬、老人の姿の賢者)の三博士が有名です。

しかし、聖書には三人であるという根拠はどこにもありません。だだ、幼子イエスに黄金と乳香と没薬の三つの宝物が捧げられたということがあるだけです。だから一人が三つの宝物を持ってきたとも考えられます。

東方の博士は、ペルシャあたりから来た異邦人であり、マゴイと呼ばれる天文学者・占星術の学者でした。

東方の博士はいつ幼子イエスに会いに来たのか?よく降誕劇では羊飼いと一緒に出てくるが本当はそうではなかったと考えられます。少なくともイエスが生まれてからから一か月から半年以上経った頃に到着したと考えられます。

東方の博士たちは何をしに来たのか?「彼らはひれ伏して幼子を拝み」(マタイ211)=神である主イエスを礼拝するために来ました。それぞれの宝物は、神であるイエスへの捧げ物という構図です。

黄金、乳香、没薬はそれぞれ意味があります。

黄金は太陽を表し、朽ちないもの、永遠性、神性や王を表し、イエスがキリスト教において王であり神であることを表しています。

乳香は祭司が神に捧げるなだめの香りです。イエスが神と人間を繋いで、とりなす存在であることを聖書は暗示しています

没薬。英語でミルラ。遺体への防腐剤。死者につける高価な薬。故にミイラの語源とも呼ばれています。没薬はイエスがその生涯の終わりには十字架に架かって死ぬ人物であることを象徴しています。生まれたその時から遺体への防腐剤が送り届けられたという構図です。

面白いのは、イエスは生まれながらにして十字架への道のりが運命づけられていたという点です。宗教活動や政治闘争の結果、イエスが十字架に掛けられたという出来事を、当時のキリスト教徒は敗北ではなく運命だったのだと肯定的に理由づけているのです。そんな構図がクリスマス物語から読み取れます。

まとめるとこうなります。東方の三博士が幼子イエスを訪れたという出来事は、博士がイエスを礼拝しに来たという物語になっています。礼拝される対象は神です。そして、博士が礼拝したのは幼子イエスです。つまり、礼拝される幼子イエスは神であるのだという構図になるのです。その構図を作るのがクリスマス物語の目的です。

また、その構図は様々なアイテムで強化されます。黄金、乳香、没薬というアイテムがそのことを暗示しています。黄金はイエスが王であり神であること、乳香はイエスが神と人間を繋ぐ救い主であること、そして没薬はイエスが十字架で死んで救いを成就することを物語っているのです。イエスは生まれたその時から人類の救いの為に十字架に架かることが運命づけられていたのだという聖書の主張を読み取ることができます。クリスマス物語の中にキリスト教が主張するイエスの立場の根幹が表現されている訳です。

このような聖書が暗示している意味を知っていると、よりクリスマスの物語を楽しめるでしょう。

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