錦織圭選手、残念ながら地元ブラジルのベルッチ選手に敗れ、リオオープンは初戦敗退に終わりました。錦織選手の例年とは異なるシーズン序盤のクレー巡りはベストとは言えない結果となりました。 以下、SMCI指数の表です。
手集計ですので、UE数とFE数はもしかしたら前後するかもしれません。間違っていたら申し訳ありません。 今回の分析はごく簡単に眺めるだけに留めます。
一目瞭然なのは錦織選手のSMCI指数の低さです。実質試合支配率(SMCR)とポイント実質支配レーティング(SCRP)が共にマイナスの領域にあります。端的に言って、SMCI指数がマイナスにあるという事は、錦織選手はこの試合全く主導権を握れていなかったということです。
ベルッチ選手の指数も高くありません。むしろ低い数字です。ということはベルッチ選手もまた試合を支配し切れていなかったと言えます。しかし、錦織選手の指数が極端に悪かったのがベルッチ選手の勝因でしょう。
錦織選手のSMCI指数が極端に悪かった原因は、精度性と効率性の悪さです。精度性に至ってはマイナスです。逆に積極性と損失性に錦織選手とベルッチ選手との間にあまり差は見られません。
精度性がマイナスになるということは、自分が積極的に取りに行ったポイント(自分のウィナーと相手のフォーストエラー)の数よりも、自分のアンフォーストエラー(UE)の数の方が上回ってしまったという事です。そして、自分の積極的なポイントよりもUEの方が上回れば当然、効率性も下がります。
錦織選手のポイント効率性(EOP)は僅か2、ベルッチ選手は11。錦織選手はベルッチ選手1/5以下の効率性です。これだけ効率性に差があると、試合において主導権を握るのは極めて困難です。
実際、そのことを物語っているのが、この試合の錦織選手のブレークのされ方です。第1セットに1回、第2セットに3回ブレークされていますが、ブレークされた際全て錦織選手のUEの数が急増しています。
第1セット第9ゲーム【失点4ポイント中3ポイントがUE】
第2セット第1ゲーム【失点4ポイント中3ポイントがUE】
第2セット第7ゲーム【失点4ポイント全てUE】
第2セット第9ゲーム【失点6ポイント中4ポイントがUE】
この日の錦織選手のUE数が33で、ブレークされたゲームだけでUEの合計が14です。この日の全UE数の42%がブレークされたゲームに集中しているのです。これは無視できる割合ではありません。特定の時間帯における精度性の悪さと、リスクバランスの配分の誤りがこの支配の勝敗を分けたと言っても過言ではないでしょう。
この試合ベルッチ選手が実質的に試合を支配していたとは言えません。彼も各要素を眺めて見ても、決して高い値とは言えません。むしろ、低い値だと言えます。何故なら、試合優勢率(MAR)と試合劣勢率(MDR)が共に負基準点以下だからです。
ベルッチ選手
MAR 1.86 【負基準点1.93】*MARは負基準点以下で悪評価
MDR 1.31 【負基準点1.30】*MDRは負基準点以上で悪評価
つまり、ベルッチ選手もかなり悪いパフォーマンスだったと言えます。このパフォーマンスだと試合に負けてもおかしくないぐらいの内容です。しかし、勝ったのはベルッチ選手です。
テニスの試合では、よく「ワンチャンスをものにして勝利した」という言い方がありますが、この試合は全く逆で、錦織選手が勝負所でことごとくUEを重ねた結果敗北したと言えます。